最近ベストセラーになっている、「FACTFULNESS: 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」を読みました。
特に面白かった点は筆者が「世界の貧困問題は改善方向に向かっているのに、世界のトップエリートでさえその現状を理解できていない」と批判する部分です。
例えば、世界人口のうち1日を1ドル以下で過ごす極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A:約2倍になった
B:あまり変わっていない
C:約半分になった
というクイズに、ほとんどの国で9割の人が間違えるそうです。正解はC (約半分になった)ですが、私も正解できませんでした。
投資の観点から興味深かった点は、「2100年にかけ、米州・欧州の人口は現在から変化しないが、アジア・アフリカでは約40億人ほど人口が増え、世界の人口の8割以上がアジア・アフリカに暮らすことになる。そのアジア・アフリカの人々が今後豊かになっていくことを理解しないと、企業はビジネスチャンスを失う」というメッセージでした。
この本を読み、今後長期にわたってアジア・アフリカのビジネス上の重要性が増していくことはもっともだと思いましたので、まず保有銘柄がどの程度アジア・アフリカで成功しているのか調べてみました。
調査方法
「アジア・アフリカで成功している」と判断するにあたって、今回は地域別の売上高を見ることにします。本当は地域別で純利益やキャッシュフローがあればより良かったですが、残念ながらそこまで公開されていませんでした。
また、会社ごとに地域の区切り方が違うこともあり、かなりざっくりした傾向を把握した形になります。
「アジア・アフリカで成功している」企業は?
現在の保有銘柄の中では、3Mがアジア・アフリカでの売上高比率が高いと言えそうです。残念ながらアフリカのみでの売上高を開示している企業は少なく、欧州や中東などとまとめられている場合が多いため、アフリカ部分はある程度推定するしかありません。
一方で、多くの企業で米国/欧州の売上高は開示されており、一般的にいう先進国 (米国/欧州)とそれ以外を分類することはある程度可能です。ただし、この分類では日本・カナダ・オーストラリアが先進国に入っていないことになりますので、あくまでこれもざっくりとした分類です。
米国/欧州とそれ以外という分類でみると、Johnson & JohnsonとP&Gは米国/欧州における売上高比率が約70%と、先進国の比率が高いことが分かります。

保有銘柄ではありませんが、インド/アフリカで高いシェアがあるとされるUnileverの売上高比率をみると、米州と欧州での売上高比率は55%ほどと、Johnson & JohnsonとP&Gほど先進国に依存していないことわかります。
新興国での売上比率が高いから必ずしも将来有望とは限りませんが、個人的には長期で人口増・需要増が見込める地域で既に売上高がある企業に投資していくのは面白いと思いますので、Unileverは購入したい銘柄の1つです。
あまり脈絡はありませんが、タバコ銘柄の中でBritish American Tabaccoも新興国での売上高比率が高く、こちらも今後の購入候補銘柄です。

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